以下は会報(NO.7)の一部を再編集したものです。
| ペンリレー カシノナガキクイムシの 被害広がる 中澤勝重 |
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| 独立行政法人 森林総合研究所 HPより |
| 植物の自己防衛とカシナガ これは昆虫の名前です。体長は5ミリ弱の円筒形で光沢のある暗褐色をしていて、ミズナラの木を枯らす張本人です。(略してカシナガ) この虫は6月下旬から7月上旬、前年枯死したナラ類から脱出を始め、別の健全な個体に穿入します。その方法は、最初オス成虫が対象木に飛来して穿入を始め、仲間を呼び寄せる物質を出し仲間を集めます。引き寄せられたオスは自分の穴を掘りメスを呼び寄せペアになります。ペアになったカシナガは幹の中に直径2ミリ程度の坑道を掘って芯材に近ずくと左右に分かれます。今度は年輪に沿って坑道が掘られ、その途中に掘られた穴で幼虫を養いいます。 では、なぜ木が枯れるのでしょうか。枯死した木を調べると穿孔の数は何千という数になります。また、メスの前胸背板にある袋(小さな穴が開いている)には菌が保持されていて、この菌を掘った穴で栽培します。これがカシナガの食物になります。その菌(ナラ菌)が樹木内部の細胞を壊し、根から吸い上げられた水分が供給されなくなるためにミズナラが枯死すると考えられています。最初は数本の木の被害であっても翌年以降爆発的に増加し、2・3年で林全体に拡大します。しかし、全部のミズナラが枯死することはありません。枯死率は最大で80%で20%の木は生き残ります。これは木といえども一本一本DNAが違い、ナラ菌の耐性を持つものが存在するからです。以後耐性を持った木が成育して20年〜30年で林を形成するとのことです。これは動くことで難を逃れることが出来ない植物の自己防衛ということですから驚きです。また、昨年のように実をつけないことも自己防衛手段で、実をつけないことにより「その実を食べる動物の数を減らす」ということで調整していると言われています。 原因は森林放置か温暖化か? なぜ今カシナガが富山県に発生してきたのでしょうか。富山県では平成14年夏、医王山中腹で確認され、昨年までの3年間に県南西部の旧5市町村に広がり1500本余りが被害を受けていると言われています。専門家は「富山県全域に広がるのは時間の問題だろう」と予想しています。1月10日の北日本新聞では発生の原因として二つの仮説があると報じました。一つは森林の放置「人の手が入らなくなり森の木が高齢化し、さらに環境の悪化で病害虫への抵抗力が低下した」こと。もう一つは「カシナガの生息区域が亜熱帯が中心であり日本はその北限にあたる。温暖化の影響でカシナガの生息域が次第に広がってきている」という説です。 今年も発生か「熊問題」 私は後者の「温暖化による生息区域の拡大説が的を得ている」と考えています。なぜならばミズナラは本来冷涼な所に生育する樹木であり、今までカシナガに出会っていないため「ナラ菌への耐性率が悪い」。そして温暖化により「カシナガの生息地域が北上している」為であると考えるからです。いずれにしても現在、この昆虫の進出を止めるべく有効な手段は確立されておらず、当分は被害が拡大すると予測されています。その結果、今年もまたどんぐりの不足が予想され「クマ問題が起きそうだ」と心配している専門家もおられます。 (参考文献) *金大大学院自然科学研究科 鎌田直人先生の講演要旨集 *富山市科学文化センター 大田道人先生 北日本カル チャー教室講義(カシノナガキクイムシ) 甲虫目 ナガキクイムシ科 |
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