法に基づいた管理と運営
NPO法人は法令に則った組織・運営が必要です。
法人になれば、所得に対して様々な税金も課せられます。
ここでは主な留意点についてご紹介します。
1 NPO法人の管理・運営
NPO法人は、法の定めにしたがって適切な管理・運営を行わなければなりません。
主に留意する事項として下記のようなものがあります。
(1)役員 | ●NPO法人には、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。 ●理事は法人を代表(注1)し、その過半数(注2)をもって業務を決定します。 役員の変更等があった場合は、所轄庁に届け出ることが必要となります。 ●なお、役員は暴力団の構成員等はなれないなどの欠格事由のほか、 親族の数、報酬を受ける者の数等に制限が設けられています(法15~24)。 (注1)定款をもって、その代表権を制限することができます。 (注2)定款において特別の定めを置くことができます。 |
(2)総会 | ●NPO法人は、毎事業年度少なくとも1回、 通常総会を開催しなければなりません(法14の2)。 |
(3)その他の事業 | ●NPO法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、 特定非営利活動以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができます。その他の事業で利益を生じた場合は、その利益を特定非営利活動に係る事業のために使用しなければなりません。 ●また、その他の事業に関する会計を特定非営利活動に係る会計から 区分しなければなりません(法5)。 |
(4)事業報告書等 | ●毎事業年度初めの3カ月以内に、前事業年度の事業報告書、 計算書類(活動計算書(当分の間、収支計算書による提出も可。以下同じ。)、 貸借対照表)、財産目録などを作成し、すべての事務所に備え置くとともに、 所轄庁に提出することが必要です。 ●法人の会計については、正規の簿記の原則に従って会計簿を記帳するなど、 法第27条に定められた原則に従い会計処理を行わなければなりません (法27〜29)。 |
(5)定款変更 | ●定款を変更するためには、総会の議決を経た上で、 下記①〜⑩に関する事項について変更を行う場合には、 所轄庁の認証が必要です(法25③④)。 ●下記①〜⑩に関する事項以外の定款の変更については、 所轄庁の認証は不要です。なお、この場合にも、 定款変更後に所轄庁に届け出ることが必要となります(法25⑥)。 (注) 定款の変更にあたり所轄庁の認証が必要となるのは、 以下の①〜⑩に関する事項となります。 ① 目的 ② 名称 ③ その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類 ④ 主たる事務所及びその他の事務所の所在地 (所轄庁の変更を伴うものに限ります。) ⑤ 社員の資格の得喪に関する事項 ⑥ 役員に関する事項(役員の定数に係るものを除きます。) ⑦ 会議に関する事項 ⑧ その他の事業を行う場合における、 その種類その当該その他の事業に関する事項 ⑨ 解散に関する事項(残余財産の帰属すべき者に係るものに限ります。) ⑩ 定款の変更に関する事項 |
(6)合併、解散 | ●NPO法人は、総会での議決・所轄庁の認証等の一定の手続きを経て、 別のNPO法人との合併又は解散を行うことができます(法11③)。 ●NPO法人が解散する場合、残余財産は、定款で定めた者に帰属しますが、 その定めがない場合は、国又は地方公共団体に譲渡するか、最終的には、 国庫に帰属することとなります(法31〜39)。 (注)定款で定めることができる残余財産の帰属すべき者は、 ①〜⑥に掲げる者のうちから選定されなければなりません(法11③)。 ① 他の特定非営利活動法人 ② 国又は地方公共団体 ③ 公益社団法人,公益財団法人 ④ 学校法人 ⑤ 社会福祉法人 ⑥ 更生保護法人 |
(7)監督等 | 所轄庁は、法令違反等一定の場合に、NPO法人に対して、報告を求めたり、 検査を実施し、また、場合によっては、改善措置を求めたり、 設立認証を取り消すことができます。 また、法に違反した場合には、罰則が適用されることがあります (法41〜43、77〜81)。 |
2 NPO法人格取得後の義務
法人格取得後は、法及びその他の法令並びに定款の定めにしたがって
活動しなければなりません。
特に次の点にはご留意ください。
(1)事業報告書等の情報公開と所轄庁への提出 | 法人は、毎事業年度初めの3カ月以内に、 前事業年度の事業報告書等を作成しなければなりません。 また、これらの書類は、役員名簿及び定款等と併せて すべての事務所に備え置き、社員及び利害関係人に閲覧させるとともに、 所轄庁に提出し、一般公開されることとなります(法28~30)。 (注) 閲覧される書類は①~⑨となります。 ① 事業報告書 ② 貸借対照表 ③ 活動計算書 ④ 財産目録 ⑤ 年間役員名簿(前事業年度において役員であった者の氏名及び住所又は 居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿) ⑥ 社員のうち10人以上の者の名簿 ⑦ 役員名簿 ⑧ 定款 ⑨ 認証・登記に関する書類の写し |
(2)納税 | 法人に対しては、いろいろな税金が課せられます。 詳細については、お近くの税務署、都道府県税事務所等にご相談ください。①法人税(国税)・法人事業税(地方税)・地方法人特別税(国税) 法人税法に規定された「収益事業」 (その性質上その事業に附随して行われる行為を含みます。)から 生じる所得に対して課税されることとなります。 (注1) 法人税法上の収益事業は、物品販売業等の下記に掲げられる事業で、 継続して事業場を設けて行われるものをいいます(法人法2十三、法人令5①)。 物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、 通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、 料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、 土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、 医療保健業、一定の技芸教授業、駐車場業、信用保証業、 無体財産権の提供等を行う事業、労働者派遣業 (注2) 特定非営利活動に係る事業であっても、 上記(注1)に掲げる事業に該当する場合には、 当該事業から生ずる所得については法人税が課税されます。②法人県民税、法人市町村民税 地方税(法人住民税(法人税割)及び事業税)も、 収益事業から生じた所得に対して課税されます。 また、法人住民税(均等割)は、所得の有無にかかわらず 原則として課税されます。*税制上の支援措置 NPO法人の活動を支援するため、 税制上の支援措置が講じられている場合があります。 制度詳細や手続きは富山県、各市町村の担当部署にお問い合わせください。県税 (法人県民税(均等割)・不動産取得税・自動車取得税・自動車税) 総合県税事務所 930-0096 富山市舟橋北町1-11 代表076-441-2551 市町村税については各市町村役場へお問い合わせください。 |
(3)登記 | ①設立の登記 NPO法人は、所轄庁から認証を受けただけでは成立しません。 認証のあった旨の通知を受けた日から2週間以内に、 主たる事務所の所在地を管轄する法務局(登記所)にて 登記をすることによって成立します。 また、従たる事務所がある場合には、設立の登記をした後2週間以内に、 その事務所の所在地を管轄する法務局でも登記をする必要があります。 登記申請と同時にNPO法人の印鑑登録も行います。 なお、設立の登記に必要な書類や手続きについては、 法人の名称に使用できる文字等が制限されているなど様々な制約があります。 あらかじめ法務局(登記所)担当者等と相談されることをお勧めします。 *法人の印鑑登録のため法人印、 代表者個人の実印とその印鑑証明等が必要です。設立時登記事項(組合等登記令第2条) ① 目的及び業務 ② 名称 ③ 事務所の所在場所 ④ 代表権を有する者の氏名、住所及び資格 ⑤ 存立時期又は解散事由を定めたときは、その時期又は事由 ⑥ 資産の総額設立の登記に必要な書類 (組合等登記令第16条、25条、商業登記法第19条) ① 設立の登記の申請書 *記載すべき事項 ・法人の名称及び主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所・登記すべき事項 ・代理人によって申請するときは、 その氏名及び住所・官庁の認証書の到達した年月日 ・申請年月日・法務局の表示 ② 定款 ③ 法人設立の認証書 ④ 代表権を有する者の資格を称する書面 ⑤ 資産総額を証するす書面②登記事項に変更があった場合の登記(組合等登記令第6条第3項)登記事項に変更が生じたときは、主たる事務所を管轄する法務局においては 2週間以内に、従たる事務所を管轄する法務局においては 3週間以内に変更の登記をしなければなりません。 登記事項の変更 ※役員再任のときにも登記が必要になります
資産の総額の変更
*罰則
富山県内で法人登記事務を行う法務局 |
3 NPO法の改正&寄付税制のポイント
NPO法が制定後12年余を経て、NPO法人は全国で4万法人(富山県は約300法人)を超えました。
多様化する社会のニーズを人々の支え合い、地域の絆によって充足し、
またNPO法人等の「新しい公共」の担い手への寄附や参画を促進するため、
平成23年6月15日に「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律」が成立しました。
NPO法改正のポイントは、県からの委託事業(「互いに支える社会創造事業(新しい公共支援事業)」)で
当センターが作成しました「NPO活動紹介ガイドブック」にも概要を掲載しています。
(平成24年3月発行 作成協力:富山県男女参画・ボランティア課)
主な掲載内容
■認証制度の改正
1 活動分野の追加
2 所轄庁の変更(内閣府認証制度の廃止)
3 認証手続きの柔軟化、簡素化
■認定NPO法人制度の改正
1 認定NPO法人とは
2 認定NPO法人になることのメリット(寄附税制の改正)
3 認定NPO法人になるための認定基準の緩和
4 仮認定制度の導入